退職した年のふるさと納税、上限額はどうなる?“去年と同じ金額”だと損しやすい理由と、ワンストップが使えなくなるケースをFP2級がやさしく解説

退職した年のふるさと納税を計画する人のイラスト ふるさと納税

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今年、会社をやめた。有休消化中に「そうだ、毎年のふるさと納税もしておかなきゃ」と、いつものお肉といつものお米を、いつもと同じ金額でポチッ。……ちょっと待ってください。そのカート、去年のあなたが入れたものかもしれません。

ふるさと納税の上限額は、「その年に、いくら稼いだか」で決まります。年の途中で退職した年は、収入が減るぶん上限額も下がるので、去年と同じ金額で寄附すると上限を超えてしまうことがあります。この記事では、退職した年のふるさと納税で気をつけたいことを、FP2級の私がやさしく解説します。

📅 年末が近い方へ:ふるさと納税、年末までにやることまとめ【2026年】(締め切り・上限額・ワンストップの期限を1ページで確認できます)

結論:退職した年は「今年の収入」で上限額を出し直す

先に結論です。

  • 上限額は1月〜12月の、その年の所得で決まります。退職した年は去年より下がるのがふつうです。
  • 退職金は、ほかの所得とは別に税金を計算する仕組み(分離課税)なので、基本的に上限額を増やしません。
  • 失業保険(雇用保険の基本手当)は税金がかからないお金なので、これも上限額には入りません。
  • 年内に再就職せず年末調整を受けないと、確定申告(税金を取り戻す申告)をすることが多く、その場合はワンストップ特例が使えなくなります。

上限額そのものの調べ方はふるさと納税の上限額はどう決まる?でくわしくまとめています。

上限額が下がる理由:「1月〜12月の所得」で決まるから

ふるさと納税で、自己負担2,000円をこえた分が戻ってくる(税金から引かれる)のは、上限額までです。総務省の説明では、住民税から引かれる「特例分」は住民税の所得割額(所得に応じてかかる部分)の2割までとされています。

この所得割額は、寄附した年の1月〜12月の所得をもとに計算されます。つまり、6月末で退職して年内は働かない場合、上限額は「半年分の給与」で計算し直しになります。

しかも、上限額は収入にきれいに比例するわけではありません。基礎控除などの「誰でも引ける分」は変わらないので、収入が半分になると、上限額は半分よりもさらに小さくなることがあります。「去年の半分なら大丈夫でしょ」という目算も、ちょっと危ないのです。

上限額をこえた分は、控除されない「ただの寄附」になります。返礼品は届くので気づきにくく、翌年の住民税の通知を見て「あれ?」となりがちです。

退職金・失業保険は上限額に入る?入らない?

退職した年ならではの「大きなお金」が2つあります。どちらも、上限額を増やしてはくれません。

  • 退職金:給与などとは別に税金を計算し、受け取るときに所得税・住民税が差し引かれて終わる仕組み(分離課税)です。ふるさと納税の上限額の計算に使う所得割額には基本的に入らないので、「退職金が出たから多めに寄附しよう」は通用しません。
  • 失業保険(基本手当):法律で税金をかけないお金とされています。所得に入らないので、上限額も増えません。

通帳の残高は増えているのに、ふるさと納税の上限額は減っている——退職した年は「お財布」と「上限額」が逆の動きをする年だと覚えておきましょう。

なお、年明けすぐに退職して年内の給与がごくわずか、といった特殊なケースでは扱いが変わることもあります。自分の場合が気になる方は、お住まいの市区町村の税務課に聞くのが確実です。

退職後の過ごし方別:上限額とワンストップ特例の早見表

年内にどう過ごすかで、上限額の考え方と手続きが変わります。

退職後の過ごし方 上限額の考え方 ワンストップ特例 手続きのポイント
年内に再就職して、新しい会社で年末調整を受ける 前の会社+新しい会社の給与の合計で計算 使える(寄附先が5自治体以内なら) 前の会社の源泉徴収票を新しい会社に出す
年内は働かない(年末調整を受けない) 退職までの給与だけで計算。去年より大きく下がりやすい 確定申告をするなら使えない 税金を取り戻す確定申告をするなら、寄附金控除も一緒に書く
退職して個人事業主として開業した 退職までの給与+事業の所得(売上ではなく、経費を引いた利益) 使えない(確定申告が必要) 確定申告で寄附金控除を書く

ポイントは2列目と3列目です。総務省の説明では、ワンストップ特例は「確定申告の不要な給与所得者等」で、寄附先が5自治体以内の人が使える仕組みです。確定申告をすると、先に出したワンストップ特例の申請は使われなくなるので、申告書に寄附金控除を書き忘れると控除がゼロになってしまいます。

年の途中で退職して年末調整を受けていない人は、会社が毎月引いていた所得税が多めになっていることが多く、確定申告をすると戻ってくる場合があります。せっかく税金を取り戻しに行くなら、ふるさと納税の分もいっしょに取り戻しましょう。会社員のふるさと納税と年末調整の関係はふるさと納税は年末調整でできる?も参考にしてください。

失敗しないための3ステップ

  1. 前の会社の源泉徴収票を手元に用意する。退職すると、前の会社から源泉徴収票が届きます(届かなければ会社に確認を)。ここに書かれた「支払金額」が、今年もらった給与の合計です。
  2. 年内に入る予定の収入を足して、「今年の見込み」を出す。再就職先の給与、副業の利益などを足します。退職金と失業保険は足しません。
  3. ふるさと納税サイトの計算ツールに「今年の見込み」を入れて、少なめに寄附する。見込みはブレやすいので、出てきた上限額ぴったりではなく、少し余裕をもたせるのが安心です。

寄附の締め切りは12月31日ですが、年末はサイトが混み合います。年内の予定が見えてきた11月〜12月上旬に寄附しておくと、上限額の見込みも立てやすく、あわてずにすみます。締め切りの考え方はふるさと納税はいつまで?で解説しています。

「今年の上限額、思ったより少なかった……」という方も、日用品やお米など毎月の出費を減らせる返礼品を選べば、少ない枠でもしっかり家計の助けになります。返礼品を探すなら「au PAY ふるさと納税」も選択肢のひとつです。

まとめ

  • ふるさと納税の上限額は寄附した年の1月〜12月の所得で決まる。退職した年は去年より下がるのがふつう。
  • 退職金・失業保険は、基本的に上限額を増やさない。「お金が入ったから多めに」は要注意。
  • 年内に再就職して年末調整を受けるなら、ワンストップ特例が使える(5自治体以内)。
  • 年末調整を受けずに確定申告をするなら、ワンストップは使えない。申告書に寄附金控除を必ず書く。
  • 前の会社の源泉徴収票で「今年の見込み」を出し、少し余裕をもって寄附しよう。

※本記事は執筆時点(2026年10月)の情報をもとにしています。上限額や手続きは、収入や家族構成、お住まいの自治体によって変わります。正確な金額は、お住まいの市区町村やご利用のふるさと納税サイトの計算ツールでご確認ください。

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