事業用のクレジットカードは分けるべき?個人事業主が「もう1枚」で帳簿がラクになる3つの理由と、明細だけでは足りない落とし穴をFP2級がやさしく解説

デスクの上に並んだ2枚のクレジットカードとノートパソコン、レシートと電卓のイラスト クレジットカード

※本記事はプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。

確定申告の前の夜、クレジットカードの明細を印刷して、蛍光ペンで「これは経費」「これは家族の焼肉」と塗り分けた経験はありませんか。1年分をまとめてやると、なぜか焼肉の記憶だけは鮮明によみがえるのに、肝心の「この2,980円、何に使ったんだっけ?」がどうしても思い出せないんですよね。

そこで毎年のように浮かぶのが、「事業用のクレジットカード、やっぱり分けたほうがいいの?」という疑問です。今日はここに正面から答えます。

先に結論|分ける義務はない。でも「探す時間」がまるごと消える

この記事の要点は4つです。

  • 個人事業主が事業用と個人用のクレジットカードを分けなければならない、という法律はありません。
  • ただし経費にできるのは「業務上必要だと明らかに区分できる金額」だけ。カードを分けるのは、この“区分”をラクにするための手段です。
  • 意外なことに、仕訳の「本数」だけなら分けないほうが少なくて済みます。効いてくるのは、どれが経費かを探す時間がゼロになること。
  • 落とし穴は、カード会社の利用明細だけでは消費税の仕入税額控除を受けられないこと。レシートは捨てないでください。

帳簿づけや申告書づくりに不安がある方は、初年度無料で始められるやよいの青色申告 オンラインのような会計ソフトを使うと、仕訳から申告書の作成までまとめて進められます。

そもそも「カードを分けなさい」という決まりはあるの?

結論から言うと、ありません。開業届にもカードの欄はありませんし、個人用のカード1枚で事業の支払いをしていても、それ自体が違反になることはありません。

では、税務のルールは何を求めているのでしょうか。国税庁のタックスアンサー(No.2210 必要経費の知識)には、家事と事業の両方にかかわる支出=家事関連費について、こう書かれています。

取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます

読み替えると、こうなります。

法律が求めているのは「カードを分けること」ではなく、「記録で区分できること」。カードを分けるのは、その区分を自動でやってくれる“いちばんラクな方法”というだけなんですね。

逆に言えば、1枚でもきちんと区分できているなら問題ありません。記憶力に自信のある方はそれでもOKです……ただ、来年の自分はほぼ他人だと思っておいたほうが安全です。

分けると仕訳はどう変わる? 実際の勘定科目で比べてみる

「分けるとラクになる」とよく言われますが、仕訳のレベルで何が起きているのかを見てみましょう。青色申告(複式簿記)で、税込5,500円の消耗品を買った場合の例です。

支払ったカード 買ったもの 利用した日の仕訳 引き落とし日の仕訳
個人用カード 事業の消耗品 5,500円 消耗品費 5,500/事業主借 5,500 記帳不要(生活費の口座から落ちるため)
事業用カード 事業の消耗品 5,500円 消耗品費 5,500/未払金 5,500 未払金 5,500/普通預金 5,500
事業用カード 私的な買い物 3,000円 事業主貸 3,000/未払金 3,000 未払金 3,000/普通預金 3,000

お気づきでしょうか。分けたほうが仕訳の本数は増えています。個人用カードで払えば「事業主借」を使って1本で終わるのに、事業用カードだと利用日と引き落とし日の2回に分かれるからです。

それでも分けたほうがいい理由は、別のところにあります。

カードを分ける本当のメリットは、仕訳が減ることではなく「どれが経費かを探す作業」が消えることです。

具体的には、次の3つが変わります。

  1. 拾い出しがゼロになる:事業用カードの明細は、原則ぜんぶ経費。蛍光ペンの出番がなくなります。
  2. 会計ソフトの自動取込がそのまま使える:個人用カードを連携させると、家族の買い物まで取り込まれて、結局あとから消す作業が発生します。
  3. あとから説明しやすい:私的な支出が混ざった明細は、税務署に聞かれたときも、自分で見返すときも、説明に時間がかかります。

ちなみに、自宅兼事務所の家賃や電気代のように「どうしても混ざるもの」は、カードを分けても按分(家事按分)が必要です。そこだけは手作業が残ります。

会計ソフトと組み合わせて、はじめて効果が出る

カードを分けただけでは、明細を見る手間は残ります。効果が跳ね上がるのは、会計ソフトにそのカードを連携させたときです。明細が自動で取り込まれ、勘定科目まで推測して並べてくれるので、やることは「確認して確定」だけになります。

たとえばマネーフォワード クラウド確定申告は、銀行・クレジット明細の自動取込がすべてのプランに付いています(執筆時点)。料金は年払いで、パーソナルミニが月900円、パーソナルが月1,280円。1か月の無料お試しもあります。

「事業用カード1枚」+「会計ソフトに連携」。この2つがそろうと、確定申告前の“明細とのにらめっこ”がほぼなくなります。

ソフトそのものの選び方は個人事業主の会計ソフトはどう選ぶ?で3社を比べていますので、迷っている方はあわせてどうぞ。

「もう1枚」はどう選ぶ? 3つの選択肢を比較

事業用に使うカードといっても、選択肢は3つあります。いきなり法人向けの立派なカードを作る必要はありません。

選択肢 年会費 審査で見られるもの 向いている人
年会費無料の個人カードをもう1枚 無料 本人の収入・信用情報 副業中の人/開業して間もない人
個人事業主向けのビジネスカード 無料〜1万円超まで幅がある 本人に加えて事業の内容など 事業が軌道に乗ってきた人
事業用口座のデビットカード 無料のものが多い 原則、審査なし 使いすぎが不安な人/審査が心配な人

開業してすぐの時期は、事業の実績がまだありません。そのため、まずは年会費無料の個人カードを1枚増やして「これは事業専用」と決めるのが、いちばん現実的な第一歩です。

経費管理のために年会費のかかるカードを持つのは、本末転倒になりがちです。年1万円の年会費は、そのまま年1万円の固定費ですから。

年会費無料の1枚としてよく名前が挙がるのがエポスカードです。入会金・年会費が永年無料で、ネットからの申し込みに対応しています。海外旅行傷害保険も付いていますが、2023年10月1日以降に出発する旅行からは「利用付帯」(旅行代金をカードで支払うことが条件)に変わっているので、そこだけ覚えておくと安心です。カードそのものの詳しい中身はエポスカードはどんな人におすすめ?にまとめています。

※年会費・特典・保険の条件は変更されることがあります。申し込み前に必ず公式サイトで最新の内容をご確認ください。また、カードによっては会員規約で使い方が定められている場合があるため、事業の支払いに使えるかどうかも一度目を通しておくと安心です。

落とし穴|カードの利用明細は「領収書の代わり」になるとは限らない

ここが今日いちばんお伝えしたいところです。「事業用カードにまとめたから、明細さえあればレシートは捨てていいよね?」——これは、人によっては危険です。

国税庁は、クレジットカード会社が発行する請求明細書について、はっきりこう示しています。カード会社の明細は実際に取引した相手(お店)が作成した書類ではなく、お店の名称や登録番号が記載された書類にも当たらないため、消費税法上の「適格請求書(インボイス)」には該当しません。

つまり、インボイス登録をして消費税を納めている人は、カード明細だけを保存していても仕入税額控除が受けられません。必要なのは、お店でもらったレシート(適格請求書)のほうです。

ただし、負担を減らす特例もあります。

項目 内容
特例の名前 少額特例(一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置)
対象になる人 基準期間(個人は前々年)の課税売上高が1億円以下、または特定期間(前年1〜6月)の課税売上高が5,000万円以下の事業者
対象になる取引 1回の取引が税込1万円未満の課税仕入れ(商品1個ごとではなく1取引で判定)
できること インボイスの保存がなくても、帳簿の保存だけで仕入税額控除ができる
いつまで 令和5年10月1日〜令和11年9月30日

一方、消費税を納めていない免税事業者の方は、この話はいったん関係ありません。ただし所得税の経費であることを示す証拠として、レシートや領収書は原則として保存が必要です。「カード明細があるから」と安心して捨てないようにしましょう。インボイス登録をするかどうかで迷っている方は、副業でインボイス登録は必要?もあわせてどうぞ。

まとめ|完璧に分けなくていい。「これは事業専用」の1枚でいい

  • 個人事業主がカードを分けなければならない法律はない。求められているのは「記録で区分できること」
  • 仕訳の本数は分けたほうがむしろ増える。それでも分けるのは、探す時間が消えるから
  • 個人用カードで払った経費は「事業主借」、事業用カードの私的な支出は「事業主貸」で処理できる
  • 効果が出るのは会計ソフトに連携したとき。明細の自動取込でほぼ手作業がなくなる
  • 最初の1枚は年会費無料の個人カードで十分。年会費で固定費を増やさない
  • カード明細はインボイスにならない。消費税を納めている人はレシートの保存を(1万円未満は少額特例あり・令和11年9月30日まで)

年末が近づくと、帳簿づけはどんどん後回しになります。いま財布の中のカードを1枚、「これは事業専用」と決めるだけで、来年2月の自分がずいぶん助かります。蛍光ペンは、参考書のほうで使いましょう。

「うちの場合はどう分ければいいんだろう」と迷ったら、宅建士・FP2級の私が ココナラのホームページ制作 で、開業まわりのご相談もあわせてお受けしています。気になる方はぜひ。

※本記事は2026年9月時点の情報です。料金・サービス内容・税制は変更されることがあります。具体的な仕訳や消費税の取り扱いは、顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。
【参考】国税庁「No.2210 必要経費の知識」/国税庁 質疑応答事例「クレジットカード会社からの請求明細書」/国税庁「少額特例(一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置)の概要」/マネーフォワード クラウド確定申告 公式サイト/エポスカード 公式サイト

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