白色申告と青色申告はどっちがいい?“今年の分”はもう決まっている理由と、来年から青色に切り替える3ステップをFP2級がやさしく解説

白い書類の束と青いファイルが並んだ机の上のイラスト 確定申告・副業・個人事業

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確定申告ソフトを開いて、いちばん最初に聞かれるあの二択。「白色申告ですか? 青色申告ですか?」——ここでマウスを持ったまま5分フリーズした経験、ありませんか。とりあえず「白色」を押して、そのまま3年たった、という方もけっこういます(筆者のまわりにも普通にいます)。

白色は手軽、青色はおトク。なんとなくそう聞くけれど、具体的に何がどう違うのか、そして自分は今どっちを選べる状態なのかは、意外と説明されません。

結論:どっちを選ぶかは「3月15日」でほぼ決まっている

先に結論からお伝えします。

  • 今年(令和8年分)の申告を青色にできるのは、2026年3月15日までに「青色申告承認申請書」を出していた人だけです。まだ出していないなら、今年分は自動的に白色になります。
  • ただし今年の1月16日以降に開業した人は例外で、開業から2か月以内に出せば今年分から青色にできます。
  • 今から申請書を出す場合は、来年(令和9年)分から青色になります。期限は2027年3月15日ですが、忘れるので今出すのがおすすめです。

青色申告は「確定申告のときに選ぶもの」ではなく、「その年が始まる前後に申請しておくもの」です。ここを勘違いすると、まるまる1年ぶんの控除を取りこぼします。

帳簿づけや申告書づくりに不安がある方は、初年度無料で始められるやよいの青色申告 オンラインのような会計ソフトを使うと、仕訳から申告書の作成までまとめて進められます。

白色申告と青色申告、何がどう違う?

「白色は帳簿をつけなくていい」と思われがちですが、これはもう過去の話です。現在は事業所得・不動産所得・山林所得がある人は、白色でも記帳と帳簿の保存が義務になっています(国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」)。

つまり「帳簿をつけない」という選択肢は、そもそも存在しません。同じ帳簿をつけるなら、控除がもらえるほうがいいよね、という話になります。

白色申告 青色(10万円) 青色(55万円・65万円)
特別控除 なし 最高10万円 最高55万円/e-Taxまたは電子帳簿保存で最高65万円
帳簿のつけ方 簡易な記帳でOK 簡易な記帳でOK 正規の簿記(一般には複式簿記)
提出する書類 収支内訳書 青色申告決算書 青色申告決算書(貸借対照表+損益計算書)
家族への給与 配偶者86万円・その他1人50万円が上限(事業専従者控除) 届出の範囲内で、適正な額なら全額を必要経費に(青色事業専従者給与)
赤字の繰越し できない 翌年以後3年間くり越せる
事前の申請 不要 その年の3月15日まで(1/16以後の開業は開業から2か月以内)
出典:国税庁タックスアンサー No.2070・No.2072・No.2075をもとに作成(令和8年9月時点)

ちなみに令和9年分からは、この55万円・65万円の枠がさらに変わります(最高75万円になり、紙で出すと10万円まで下がります)。詳しくは青色申告の65万円控除が“75万円”にでまとめています。これから申請する人は、ちょうどこの新しいルールの回から青色デビューすることになります。

青色にすると得する3つのポイント

① 特別控除で、税金の計算の土台が下がる

もうけから最高65万円(令和9年分からは最高75万円)を引いてもらえます。経費を増やしたわけでもないのに、課税される所得だけが減るのがこの控除のすごいところです。所得税だけでなく住民税や国民健康保険料の計算にも効いてくるので、じわじわ効きます。

② 家族に払った給与を、まるごと経費にできる

白色でも「事業専従者控除」はありますが、配偶者86万円・その他の親族は1人50万円が上限(かつ、所得を専従者の数+1で割った額との低いほう)。一方の青色は、届出書に書いた範囲内で、労務の対価として妥当な金額なら全額が必要経費です。届出の期限は原則その年の3月15日。詳しくは家族に払う給料は経費にできる?をどうぞ。

③ 赤字を3年間くり越せる

開業初年度は赤字になりやすいものですが、青色なら、その赤字を翌年以後3年間くり越して、黒字が出た年の所得から差し引けます。白色にはこの仕組みがありません。「初年度は赤字だったから申告しなくていいか」と放置すると、この権利ごと捨てることになります。

それでも白色のままでいい人もいる

青色が万能かというと、そうでもありません。次のような方は、無理に急がなくても大丈夫です。

  • もうけがほとんど出ていない人。控除は「引く元のもうけ」がないと効きません。赤字なら控除額はゼロです(ただし赤字の繰越しは使えるので、開業直後は青色にしておく価値があります)。
  • 今年から事業をやめる人。手間だけ増えて終わります。
  • 会社員の副業で、そもそも雑所得になりそうな人。青色申告特別控除が使えるのは事業所得・不動産所得・山林所得だけです。

逆に言えば、これから伸ばしていくつもりの事業なら、早めに青色にしておくほうが有利です。申請書を出すのはタダですし、出したからといって65万円控除を必ず取らなければいけないわけでもありません(要件を満たさなければ10万円控除になるだけです)。ノーリスクの予約券のようなものと考えてよいと思います。

来年から青色にする3ステップ

ステップ1:青色申告承認申請書を出す(無料・今すぐできる)

税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を出します。A4の紙1枚で、書くのは住所・氏名・屋号・簿記の方式くらい。郵送でもe-Taxでも出せます。これから開業届も出す予定の方は、開業届と一緒に作るのがラクです。

書類作りでつまずきがちな方は、弥生の「かんたん開業届」のような無料ツールを使う手もあります。画面の質問に答えるだけで、開業届のほか、青色申告承認申請書・青色事業専従者給与に関する届出書など5種類の書類が作れます(弥生公式サイトより、2026年9月時点)。すでに白色で申告している人が青色に切り替えるときにも使えると公式に明記されています。

ステップ2:複式簿記で帳簿をつける

55万円・65万円の控除には複式簿記が必要です。「複式……?」と身構えてしまいますが、今の会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードを連携させれば、明細を自動で取り込んで仕訳の候補まで出してくれます。手書きの帳簿を想像して尻込みする必要はありません。

事業用の支払いを1枚のカードにまとめておくと、この取り込みがさらにラクになります(→事業用のクレジットカードは分けるべき?)。

ステップ3:期限内にe-Taxで出す

最後がいちばん大事です。65万円控除は、確定申告期限(翌年3月15日)までにe-Taxで送信するか、優良な電子帳簿の要件を満たすことが条件です。1日でも遅れると、最高55万円どころか10万円控除まで落ちます。複式簿記で1年がんばった意味が半分以下になってしまうので、ここだけは死守してください。

なお帳簿や領収書は、白色でも青色でも保存義務があります(法定帳簿は7年、請求書や領収書などは5年)。捨てるタイミングは領収書・レシートは何年保存する?にまとめました。

まとめ

  • 今年分を青色にできるのは、3月15日までに申請書を出していた人だけ。今から出すと来年分からになります(1/16以後の開業なら、開業から2か月以内で今年分から可)。
  • 白色でも記帳と帳簿保存は義務。手間はゼロになりません。
  • 青色の武器は特別控除・家族への給与・赤字の3年繰越の3つ。
  • 65万円控除には複式簿記+期限内のe-Taxがセットで必要。
  • 申請書を出すのは無料。迷っているなら、とりあえず出しておくほうが損をしません。

「自分の場合はどうなんだろう」という方は、宅建士・FP2級の私が ココナラのホームページ制作 で、開業まわりのご相談もあわせてお受けしています。気になる方はぜひ。

※本記事は2026年9月時点の情報をもとに、国税庁タックスアンサーNo.2070・No.2072・No.2075および「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」を参照して作成しています。個別の判断は所轄の税務署または税理士にご確認ください。

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