副業の住民税は「自分で納付」にできる?会社に知られる仕組みと、選べる副業・選べない副業をFP2級がやさしく解説

デスクの上に書類・納付書の封筒・電卓・ノートパソコンが並ぶフラットイラスト 家計管理・貯金

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副業を始めたあと、ふと気になるのが住民税のこと。「副業の分の住民税って、会社の給料から一緒に引かれちゃうの?」「自分で払うようにできるって聞いたけど、本当?」と、検索窓に打ち込んだ手が止まっていませんか。

ちなみに6月の給与明細で住民税の欄をそっと二度見して、何事もなかったかのように封筒に戻す——あの動き、たぶん全国で同時多発しています。安心してください、あなただけではありません。

この記事では、副業の住民税を「自分で納付」にできるのかを、FP2級の視点で、国税庁と自治体の公式情報をもとにやさしく整理します。

先に結論:選べる副業と、選べない副業がある

細かい話に入る前に、答えを先にお伝えします。

  • 副業が業務委託・ネット販売・原稿料など「給与以外」の収入 → 「自分で納付(普通徴収)」を選べる
  • 副業がアルバイト・パートなど「給与」原則として選べない(本業の給与からまとめて天引き)
  • 選ぶ場所は確定申告書 第二表のたった1か所。書かなければ自動的に給与天引きになる
  • 副業の所得が20万円以下で確定申告をしない人でも、住民税の申告は別に必要

「自分で納付」を選べるかどうかは、副業の“金額”ではなく“所得の種類”で決まります。ここを取り違えている人がとても多いところです。

そもそも住民税は、どうやって会社に伝わるの?

会社員の住民税は、ふつう毎月の給与から天引きされています。これを特別徴収といいます。流れはこうです。

  1. あなたの前年1年間の所得をもとに、市区町村が住民税を計算する
  2. 市区町村が、その年の5月31日までに勤務先(特別徴収義務者)へ税額の通知書を送る(地方税法321条の4第2項)
  3. 会社が、6月から翌年5月までの12回に分けて給与から天引きし、市区町村へ納める

東京都主税局によると、事業主は法人・個人を問わず、すべての従業員について住民税を特別徴収する義務があります。「うちは天引きしていません」は、本来は認められていないのですね。

ちなみに住民税の中身は、前年の所得に対して課される所得割(標準税率は合計10%=道府県民税4%+市区町村民税6%)と、定額の均等割(標準で道府県民税1,000円+市区町村民税3,000円)、それに2024年度から加わった森林環境税(年1,000円)で構成されています。

住民税は「去年の所得」で決まるので、副業の影響が出るのは翌年6月からです。始めた月に何も起きなくても、忘れたころにやってきます。

「自分で納付」を選べる副業・選べない副業

国税庁(確定申告書等作成コーナー よくある質問)は、こう説明しています。

  • 給与・公的年金等に係る所得のみの人:原則、特別徴収(給与から天引き)とされており、徴収方法は選択できない
  • 給与・公的年金等以外の所得がある人:その所得にかかる住民税について、徴収方法を選択できる

つまり分かれ道は「副業が給与かどうか」。表にすると次のとおりです。

副業の例 所得の区分 「自分で納付」
コンビニ・飲食などのアルバイト、パート 給与所得 ✕ 選べない
業務委託のライティング・デザイン・フード配達 事業所得または雑所得 ○ 選べる
ネット販売・ハンドメイド販売(継続的な営利目的) 雑所得または事業所得 ○ 選べる
アパート・駐車場などの家賃収入 不動産所得 ○ 選べる
原稿料・講演料・アフィリエイト収入 雑所得または事業所得 ○ 選べる

「時給で働いて給与明細が出るなら給与、報酬として請求書を出すなら給与以外」と覚えると、だいたい迷いません。なお、着なくなった服など生活用動産の不用品を売っただけなら、そもそも原則非課税です。この線引きはメルカリの売上に税金はかかる?でくわしく整理しています。

【要注意】「給与の副業だけ自分で納付」は使えなくなってきている

ひと昔前は、アルバイトの掛け持ちでも「副業分だけ普通徴収にしてください」という希望を通してくれる自治体がありました。ところが、この取り扱いをやめる自治体が増えています

理由は法律です。地方税法321条の3で「前年中の給与所得に係る所得割額及び均等割額の合算額は、特別徴収の方法によって徴収するものとする」と定められており、本業の給与と副業の給与を分けて徴収することは想定されていないためです。

切り替え時期は自治体ごとにバラバラです。たとえば静岡県富士市は令和8年度(2026年度)の住民税から、大阪府門真市は令和9年度(2027年度)の住民税から、給与分をすべて特別徴収に統一すると公表しています。さらに国税庁側でも、令和6年分の確定申告から、給与所得だけの人は第二表で「自分で納付」を選べなくなりました

「副業がアルバイトなら、住民税は本業の給与からまとめて引かれる」を前提に考えるのが、これからの正解です。ご自身の自治体がいつから統一するかは、市区町村の住民税担当ページで確認してください。

手続きは、確定申告書の“たった1か所”

給与以外の所得がある人が「自分で納付」を選ぶ場所は、確定申告書 第二表の「住民税に関する事項」にあります。

  • 欄の名前は「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」
  • 「自分で納付」に〇を付ければ普通徴収、「特別徴収」に〇なら給与天引き
  • e-Taxや会計ソフトでも、同じ選択肢がチェック欄として出てきます

ここで見落としが多いのが2点。ひとつは記入がなければ、原則として特別徴収(給与天引き)になること(東京都国立市)。もうひとつはこの選択は毎年必要だということ(大阪府門真市)。去年〇を付けたから今年も自動、とはなりません。

〇を付け忘れた年は、副業分の住民税も静かに給与天引きへ切り替わります。申告のたびに、この欄だけは必ず指差し確認しましょう。

「会社に知られたくない」で誤解されがちなこと

ここは誠実にお伝えします。普通徴収は“会社に何も知られない魔法”ではありません。

まず、自治体が会社に送る通知書は2種類あります。門真市・富士市の説明によると、

  • 特別徴収義務者用(会社が見るもの)…毎月の給与から天引きする税額だけが書かれており、収入や控除の内訳は記載されない
  • 納税義務者用(会社経由で本人が受け取るもの)…所得や控除の内訳が書かれているが、圧着シートや保護シールで中身が見えないよう加工されている

つまり「副業でいくら稼いだか」が明細として会社に渡るわけではありません。ただし住民税の総額そのものは会社が知るので、給与に対して住民税が不自然に多ければ、話題になる可能性はゼロではありません。

そして忘れがちですが、副業の可否は税金ではなく就業規則の問題です。徴収方法をどうするか悩むより、まず会社の就業規則を読むほうが早く、そして安全です。許可制なら、堂々と申請してしまうのがいちばん気がラクだったりします。

普通徴収を選ぶ前に知っておきたい2つの注意点

1. 1回あたりの負担が大きい

給与天引きは年12回ですが、普通徴収は年4回(6月・8月・10月・翌年1月が目安。時期は自治体により異なります)。同じ年税額でも、1回あたりはおおよそ3倍になります。納付書が届いてから慌てないよう、副業の入金から先によけておくのが安全です。

比較項目 特別徴収(給与天引き) 普通徴収(自分で納付)
納める回数 年12回(6月〜翌年5月) 年4回が目安(自治体による)
1回あたりの金額 小さい 大きい(およそ3倍)
手間 会社が納めてくれる 納付書・口座振替などで自分で納める
選べる所得 すべての所得 給与・公的年金等“以外”の所得のみ
払い忘れ 起きにくい 延滞金が発生するおそれあり
向いている人 手間をかけたくない人 副業分を自分で管理したい人

2. 20万円以下でも「住民税の申告」は必要

会社員の副業でよく語られる「20万円ルール」は、所得税の確定申告に限った話です。名古屋市・横浜市などが案内しているとおり、住民税には20万円以下なら申告不要という制度はありません

副業の所得が20万円以下で確定申告をしない場合は、お住まいの市区町村へ住民税の申告が必要になります。このあたりは副業の確定申告は20万円から?「20万円ルール」の正しい意味で掘り下げていますので、あわせてどうぞ。

まとめ:副業の住民税で押さえる5つ

  • 「自分で納付」を選べるのは給与・公的年金等“以外”の所得だけ。アルバイトなど給与の副業は原則選べない
  • 給与の副業を分けて普通徴収にする取り扱いは、自治体で順次終了(富士市は2026年度、門真市は2027年度から統一)
  • 選ぶ場所は確定申告書 第二表の「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」。毎年〇が必要
  • 会社に届く通知書には税額しか書かれない。ただし税額そのものは会社が知る。就業規則の確認が先
  • 副業の所得が20万円以下でも住民税の申告は必要

副業を始めたばかりで手続きを一通り確認したい方は、副業を始めたら最初にやるお金の手続き5つもあわせて読んでみてください。

申告のときに迷わないための準備

「自分で納付」を選ぶ欄は、確定申告書を自分で手書きしていると意外と見落とします。会計ソフトを使うと、住民税の徴収方法がチェック欄として画面に出てくるので、付け忘れを防ぎやすいのが利点です。副業の売上と経費を日々入れておけば、申告書の作成までそのまま進めます。

副業を続けるつもりなら、確定申告の直前ではなく、記帳のしくみを先に用意しておくほうが結果的にラクです。まずはどんな画面か眺めてみるだけでもイメージがつかめます。

※料金やプラン内容は変更される場合があります。最新の情報は公式サイトでご確認ください。

なお、副業が軌道に乗って開業届を出すか迷い始めた方は、開業届はいつ出す?副業から個人事業主になるタイミングもどうぞ。

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【参考】国税庁「確定申告書等作成コーナー よくある質問(住民税の徴収方法の選択)」/東京都主税局「個人住民税」/静岡県富士市・大阪府門真市「給与所得に係る住民税の徴収方法」/東京都国立市「確定申告書作成の際の住民税に関する注意点」。制度の運用は市区町村によって異なる場合があります。具体的な取り扱いは、お住まいの自治体の住民税担当窓口でご確認ください。

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