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10月になると、会社から配られるあの紙。「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」……名前が長すぎて、読む前から少し疲れますよね。とりあえず名前と住所だけ書いて出した経験、正直あると思います。(私も昔は「去年と同じでいいや」で提出していました。)
でも2026年の年末調整は、いつもの年と違います。2026年度の税制改正で、扶養の「年収の壁」や基礎控除が引き上げられ、それが2026年12月1日から適用されるからです。しかも変更が反映されるのは、12月のお給料。つまり「気づかずに出した紙」で、戻ってくるお金が変わるかもしれません。
結論:2026年の年末調整で押さえるのは3つだけ
細かい話はあとにして、先に結論です。
- ①「扶養に入れる年収」の上限が上がる(給与だけなら123万円以下 → 136万円以下)
- ②「所得税がかからない年収」の目安が上がる(160万円 → 178万円)
- ③ 変更は12月にまとめて精算される(11月までのお給料の天引きは、これまでどおり)
1〜11月は多めに天引きされたままなので、12月の年末調整でまとめて調整(多くの人は還付)されます。「11月の給与明細が変わらないから改正は関係ない」と思い込むのが、いちばんもったいないパターンです。
そもそも年末調整って何をしている?
毎月のお給料から引かれている所得税は、実は「たぶんこれくらいだろう」という概算です。年の途中で家族が増えたり、生命保険に入ったりしても、毎月の天引きには反映されていません。
そこで12月に、1年分の給与が確定した時点で正しい税額を計算し直し、すでに天引きした金額との差額を精算するのが年末調整です。多く引きすぎていれば戻ってきますし、足りなければ追加で引かれます。12月の給与が少し多い月がある、あの正体がこれです。
2026年12月から変わること:扶養の「壁」が動く
国税庁の資料によると、2026年度の税制改正で次の3つが改正され、2026年12月1日に施行、2026年分以後の所得税について適用されます。
- 基礎控除の引き上げ(本体部分が58万円 → 62万円。さらに所得に応じた加算があります)
- 給与所得控除の最低保障額の引き上げ(65万円 → 74万円)
- 扶養親族などの所得要件(=いわゆる年収の壁)の改正
この2つ目と3つ目が組み合わさることで、家族を扶養に入れられる年収のラインが上がります。扶養親族・同一生計配偶者は、給与収入123万円以下 → 136万円以下に。
| 区分 | 改正前(給与収入) | 2026年12月から(給与収入) |
|---|---|---|
| 扶養親族・同一生計配偶者 (子ども・親などを扶養に入れる) |
123万円以下 | 136万円以下 |
| 特定親族 (19〜22歳の子。特定親族特別控除の対象) |
123万円超〜188万円以下 | 136万円超〜197万円以下 |
| 配偶者特別控除の対象になる配偶者 | 123万円超〜201万5,999円以下 | 136万円超〜207万円以下 |
| 勤労学生控除(学生本人) | 150万円以下 | 163万円以下 |
そして本人にとっては、こちらがいちばん分かりやすい変化です。所得税がかからない年収の目安が、160万円から178万円に上がります。基礎控除104万円+給与所得控除74万円=178万円、という計算です(2026年分・2027年分の金額。2028年分以降は物価に応じて見直される仕組みになりました)。
あなたは何をすればいい? ケース別のやること
① 家族の年収が123万円を少し超えていた人 → 申告書の出し直し
いちばん見落とされやすいのがここです。たとえばアルバイトで年収130万円の子どもや、パートで働く親。改正前は「123万円超」で扶養から外れていましたが、136万円以下なら扶養に入れられるようになります。
ただし、黙っていても自動では反映されません。新しく扶養の対象になる家族がいる場合は、その旨を書いた「扶養控除等(異動)申告書」を勤務先に提出する必要があります。国税庁は、申告書の「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」などと記載するよう案内しています。
なお、勤務先から配られた申告書の裏面の注意書きが、改正前の内容のままになっている場合があります。「123万円」と書いてあっても慌てず、勤務先の担当者に確認してください。
② パート・アルバイトで働いている本人 → 働き方を再計算
年収の上限が上がったので、これまで「11月に入ったらシフトを減らす」と調整していた人は、計算をやり直す価値があります。ただし注意点がひとつ。
今回動いたのは「税金の壁」だけで、社会保険(健康保険・年金)の壁は別ルールです。健康保険の扶養から外れる130万円などの基準は、この改正では変わりません。税金だけを見て働きすぎると、社会保険料でかえって手取りが減ることがあります。また住民税の基準も所得税とは別なので、お住まいの市区町村の案内もあわせて確認してください。
③ 年の途中で退職した人 → 年末調整が受けられないことも
2026年11月30日以前に最後の給与を受け取って退職した場合など、12月1日より前に年末調整が終わっている人には、改正後の控除が適用されません。この場合は確定申告をすることで精算できます。
年末調整では「戻ってこない」お金もある
年末調整は万能ではありません。次のものは、会社の年末調整では処理できず、自分で確定申告をしないと戻ってきません。
- 医療費控除(家族の分を合算できます)
- ふるさと納税でワンストップ特例を使わなかった/6自治体以上に寄付した場合
- 住宅ローン控除の1年目(2年目以降は年末調整でOK)
- 副業などの所得が一定額を超える場合
それぞれの詳しい条件は、医療費控除はいくらから使える?、ふるさと納税のワンストップ特例とは?、副業の確定申告は20万円から? の記事で解説しています。
ちなみに、還付を受けるための申告(還付申告)は5年前までさかのぼってできます。「去年の医療費、申告し忘れた……」という方も、まだ間に合う可能性があります。
確定申告というと身構えてしまいますが、いまは会計ソフトを使えば、質問に答えていくだけで申告書ができあがります。銀行口座やクレジットカードと連携して明細を自動で取り込めるので、レシートの山と格闘する時間もかなり減ります。無料で試せるものが多いので、まず画面を見てみるだけでも十分です。
まとめ:紙が配られたら、家族の年収をもう一度見る
- 2026年度の税制改正で、扶養に入れる年収が123万円以下 → 136万円以下に広がる
- 所得税がかからない年収の目安は160万円 → 178万円(2026年分・2027年分)
- 適用は2026年12月1日から。11月までの天引きは変わらず、12月の年末調整でまとめて精算
- 新しく扶養に入る家族がいるなら、扶養控除等(異動)申告書の出し直しが必要
- 社会保険の130万円の壁は今回は動かない。税金だけで判断しない
- 医療費控除・ふるさと納税・住宅ローン控除1年目は、確定申告が必要
年末調整の紙が配られたら、5分だけでいいので家族の年収を思い出してみてください。「123万円を少しだけ超えるから、扶養は無理」とあきらめていた人ほど、今年は結果が変わる可能性があります。5分で数万円なら、なかなか良い時給です。
※本記事は2026年9月時点の国税庁公表資料をもとに作成しています。制度の詳細や個別の判断については、国税庁のウェブサイトまたは勤務先・税務署にご確認ください。


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