個人事業主・フリーランスは住宅ローンを組めない?審査で見られる3つのポイントと、今から始める“3年計画”を宅建士・FP2級がやさしく解説

机の上に確定申告書と家の模型・鍵・電卓が並ぶイラスト 家計管理・貯金

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「家がほしいな」と思ってモデルハウスに行ったら、営業さんの笑顔が一瞬だけ止まる。「お勤め先は……あ、個人事業主さんですか」——あの0.5秒の間、けっこう心に刺さりますよね。会社員のときは何も聞かれなかったのに、独立したとたん急にハードルが上がったように感じる。あるあるです。

でも安心してください。個人事業主・フリーランスでも住宅ローンは組めます。ただ、会社員とは「見られる場所」がまったく違うだけです。そこを知らずに申し込むと落ちる、というだけの話なんです。

結論:見られるのは「売上」ではなく「所得」。準備は3年前から始まっている

先に結論からお伝えします。個人事業主の住宅ローン審査で、金融機関が見ているのは主に次の3つです。

  • ① 確定申告書の「所得金額」(売上ではありません)
  • ② 何年分の申告実績があるか(民間銀行は3期分を求めることが多い)
  • ③ 税金・社会保険料をきちんと納めているか(納税証明書でバレます)

つまり、家を買うと決めた「その年」ではなく、その2〜3年前の確定申告がすでに審査の材料になっているということ。ここが会社員との一番大きな違いです。この記事では、審査で見られる3つのポイントと、今から間に合わせるための準備を、宅建士・FP2級の私がやさしく整理します。

ポイント1:審査で使われるのは「売上」ではなく「所得」

ここが一番の落とし穴です。年商1,000万円のフリーランスでも、経費を差し引いた所得が200万円なら、住宅ローン審査での「年収」は200万円として扱われます。名刺の肩書きも、取引先の大きさも、審査の数字には出てきません。

実際、全期間固定金利の【フラット35】の利用条件でも、自営業者の年収は「所得金額(事業所得、不動産所得、利子所得、配当所得および給与所得の所得金額の合計額)」と明記されています(住宅金融支援機構・公式)。売上ではなく、申告書の下の方に出てくるあの数字です。

そしてもうひとつ大事なのが返済負担率。すべての借入れの年間返済額が年収に占める割合のことで、【フラット35】では次の基準が公式に定められています。

年収(自営業者は所得金額) 総返済負担率の上限
400万円未満 30%以下
400万円以上 35%以下

注意したいのは、この「すべての借入れ」に車のローン、カードの分割払い、そして事業用の借入れも含まれること。設備投資で組んだ事業ローンが、そのまま住宅ローンの枠を食べてしまうわけです。運転資金の借入れがある方は、申し込み前に一度棚卸ししておきましょう。

「じゃあ経費を減らせばいいのか」と思いたくなりますが、そこは慎重に。所得を上げれば所得税・住民税・国民健康保険料もセットで上がります。正しく経費を計上したうえで、事業として利益がきちんと残る形に整えるのが正攻法です。経費の線引きに迷ったら、個人事業主の経費、どこまでOK?家事按分と“経費にできるもの”もあわせてどうぞ。

ポイント2:申告実績は何年分いる? フラット35と民間銀行の違い

「独立して半年、勢いで家を買いたい」——気持ちは分かりますが、ここは正直に申し上げます。開業直後がいちばん通りにくい時期です。判断材料になる確定申告書が、まだ存在しないからです。

必要な年数は借入先によって違います。【フラット35】の公式の必要書類には、収入に関する書類として自営業者は「前年・前々年の納税証明書(所得金額用)および確定申告書(写)等」と案内されています。一方、民間の銀行は直近3期分の確定申告書を求めるところが一般的です。

比較項目 【フラット35】 民間銀行の住宅ローン
金利タイプ 全期間固定金利 変動金利が中心(固定も選択可)
収入書類(自営業) 前年・前々年の確定申告書・納税証明書 直近3期分の確定申告書が一般的
勤続年数・雇用形態の条件 公式の利用条件に定めなし 金融機関ごとに基準あり
団体信用生命保険 任意(未加入でも利用可) 原則として加入必須
物件の条件 機構の技術基準に適合が必要(適合証明) 金融機関の担保評価による
おすすめな人 申告実績が2年分の人/健康面に不安がある人/金利を固定したい人 3期分の黒字実績があり、金利を抑えたい人

「勤続年数」という概念がそもそも無いのが【フラット35】の強みで、これが個人事業主にとって有力な選択肢と言われる理由です。ただし物件が機構の技術基準を満たす必要があり、団信に加入する場合は金利に上乗せされます。どちらが有利かは物件と健康状態しだいなので、「フラット35なら無条件で通る」という意味ではない点にはご注意を。

なお、上の表の書類要件や条件は執筆時点の公式情報です。取扱金融機関によって追加書類を求められることもあるため、最終的には申込先に確認してください。

ポイント3:意外な落とし穴は「税金の滞納」

所得は十分あるのに落ちる。その原因でいちばん多いのが、実は税金や社会保険料の滞納です。

個人事業主は、所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金を自分で納めます。売上の波に合わせてつい「来月まとめて」とやりがちですが、審査では納税証明書の提出を求められるので、未納は確実に見えてしまいます。「バレなければ」の余地がゼロなんです。

もうひとつ見られるのが所得の安定性です。300万円 → 800万円 → 250万円のように波が大きいと、平均では悪くなくても「安定していない」と評価されることがあります。逆に、地味でも毎年きちんと黒字が積み上がっている方が強い。住宅ローン審査に関しては、ジェットコースターより観覧車のほうが評価されます

チェックしておきたいのはこの4つです。

  • 所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金に未納がないか
  • カードローン、車のローン、リボ残高が残っていないか(家事按分で経費にしている車のローンも返済額に数えられます)
  • 直近3年の所得が大きく落ち込んだ年がないか
  • 赤字申告の年がないか(赤字の年があると、その年は返済能力の裏づけになりません)

今からできる準備:3年計画で「見せられる申告書」をつくる

ここまで読んで「じゃあ今年はムリか……」と思った方へ。逆に言えば、これから作る3回分の確定申告書が、そのまま将来の審査書類になるということです。やることはシンプルです。

  1. 青色申告にする:最大65万円の特別控除が使え、帳簿もきちんと残ります。申請には期限があるので青色申告承認申請書はいつまで?を確認してください。
  2. 日々の帳簿を止めない:3期分そろえる前提なら、記帳を後回しにするほど後で苦しくなります。会計ソフトで自動化してしまうのが結局いちばんラクです。
  3. 事業用と生活用の口座・カードを分ける:所得の根拠が説明しやすくなります。
  4. 他の借入れを先に減らす:返済負担率の枠が空き、借りられる額が増えます。
  5. 納税を最優先にする:未納は挽回に時間がかかります。

特に2つ目の「記帳を止めない」は、3年間続けるとなると気力勝負になります。私も紙とレシートでやろうとして、8月あたりで静かに敗北しました。銀行口座やカードを連携して自動で取り込む形にしておくと、確定申告そのものが軽くなります。

青色申告に対応した会計ソフトを探している方は、こちらもひとつの選択肢です。

※料金・機能は執筆時点の情報です。最新の内容は公式サイトでご確認ください。

まとめ:家の前に、申告書を整える

  • 審査で見られるのは売上ではなく確定申告書の「所得金額」
  • 返済負担率の上限は【フラット35】で年収400万円未満30%以下/400万円以上35%以下。事業用の借入れもカウントされる
  • 必要な申告実績は【フラット35】が前年・前々年、民間銀行は3期分が一般的
  • 【フラット35】は勤続年数の条件がなく団信も任意だが、物件の技術基準を満たす必要がある
  • いちばん惜しい落ち方は税金・社会保険料の滞納。納税証明書で必ず分かる
  • 対策は青色申告+毎年の黒字を積む+他の借入れを減らすの3点セット

個人事業主の住宅ローンは「通るか通らないか」ではなく「いつ申し込むか」の勝負です。今日から帳簿を整えれば、3年後のあなたは会社員より説得力のある書類を持っています。

「うちの所得だといくらまで借りられる?」「フラット35と銀行、どっちが合う?」といった個別の疑問は、宅建士・FP2級の私が ココナラの「住宅ローン本音相談」 で相談に乗っています。気になる方はぜひ。

住宅ローン控除を受ける年のふるさと納税には少しコツがあります。あわせてふるさと納税は住宅ローン控除と併用できる?もご覧ください。

※本記事は制度・サービスの一般的な情報の紹介であり、個別の融資の可否を保証するものではありません。審査基準・必要書類は金融機関により異なります。記載した【フラット35】の条件は執筆時点で住宅金融支援機構の公式サイトに掲載されている内容です。最新の情報は各金融機関・公式サイトでご確認ください。

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