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確定申告をなんとか終えて、ホッと一息。……そんなときにふと頭をよぎるのが、「これ、あとで税務署に何か言われたりしないよね?」という不安ではないでしょうか。
ドラマで見る税務調査といえば、朝いちばんに大勢の調査官が段ボールを担いで乗り込んでくるアレ。あれは「査察(マルサ)」という特別なもので、ふつうの個人事業主のところに来るものとは別物です。ちなみに現実の税務調査は、たいてい前もって電話がかかってきます。段ボールも来ません。
とはいえ、「じゃあ自分には関係ない」と言い切れないのも事実。この記事では、個人事業主・フリーランスに税務調査が来る確率と、来やすい人の傾向、そして今日からできる備えを、FP2級の視点でやさしく整理します。
先に結論:確率は低い。でも「来てから」できることは少ない
最初に要点をまとめます。
- 所得税の実地調査(調査官が来るタイプ)は年間およそ4万7千件。確定申告をした人の数で単純に割ると約0.2%=500人に1人くらいの規模感です。
- ただし、電話や書面での「お尋ね」まで含めると年間約73万6千件。こちらは30人に1人くらいの計算になります。
- 国税庁は調査先の選び方を公表していません。ただし「重点的に取り組む分野」は毎年公表されています。
- 税務調査は「来てから」準備するものではなく、「来る前」に整えておくものです。
税務調査はどれくらい来る?件数と確率で見てみる
そもそも税務調査って何?「実地調査」と「お尋ね」は別もの
ひとくちに税務調査といっても、実は大きく2種類あります。ここを分けて考えると、必要以上に怖がらずにすみます。
| 種類 | どんなもの? | 件数(令和6事務年度・所得税) |
|---|---|---|
| 実地調査 | 調査官が自宅や事務所に来て、帳簿や領収書を確認する。事前に電話で連絡があるのが原則 | 約4万7千件 |
| 簡易な接触 | 税務署から電話や書面で「ここを確認させてください」と連絡が来る、いわゆる「お尋ね」。来署をお願いされることも | 約68万9千件 |
| 合計(調査等) | — | 約73万6千件 |
ご覧のとおり、9割以上は「電話や書面での確認」です。いきなり調査官が来るケースはむしろ少数派。まずはここで少し肩の力を抜いてください。
ちなみに同じ資料では、この年の申告漏れ所得金額は9,317億円、追徴税額は1,431億円で過去最高でした。件数も前年の約60万5千件から約73万6千件へと大きく増えています。国税庁は調査先の選定にAIを活用していることも公表しており、「たまたま見つかるかどうか」ではなくなってきているのが今の空気感です。
個人事業主に来る確率はどれくらい?
気になる確率を、ざっくり計算してみます。令和6年分の所得税の確定申告書を提出した人は約2,339万人。ここに先ほどの件数を当てはめると——
| タイプ | 年間の件数 | ざっくりの割合 | イメージ |
|---|---|---|---|
| 実地調査(調査官が来る) | 約4.7万件 | 約0.2% | 500人に1人くらい |
| 簡易な接触(お尋ね) | 約68.9万件 | 約2.9% | 30人に1人くらい |
| 合計 | 約73.6万件 | 約3.1% | 32人に1人くらい |
「なんだ、思ったより低いじゃない」——正直、そう感じた方も多いと思います。実際、確率だけ見れば低い。ただ、宝くじと違って“当たったときの金額”がこちらの持ち出しになるのが困ったところです。
来やすいのはどんな人?公表されている「重点分野」から読む
ネット上には「税務調査が来やすい人の特徴◯選」といった記事があふれていますが、国税庁は調査先の選定基準を公表していません。ですので、断定的に「あなたは危ない」と言える材料は、実はどこにもありません。
そのなかで唯一たしかな手がかりが、国税庁が公表している「主要な取組」=力を入れている分野です。令和6事務年度の資料では、次のような分野が挙げられています。
- 無申告者に対する調査(そもそも申告していない人)
- 富裕層に対する調査
- 海外投資などを行っている個人に対する調査
- インターネット取引を行っている個人に対する調査(ネット販売、シェアリングエコノミーなどの新分野)
- 消費税の還付申告者に対する調査
この5つは、令和4事務年度から3年連続でほぼ同じ内容です。つまり「申告していない」「ネット取引をしている」個人は、国が明確に目を向けている層だということ。フリーランスやネットショップ運営者は、自分がここに入っている可能性を頭の片隅に置いておくと安心です。
なお、経費の考え方があいまいなまま申告していると、指摘の対象になりやすいのは想像がつきますよね。何が経費になるのかは個人事業主の経費、どこまでOK?で、自宅兼事務所の割り振り方は家事按分の割合の決め方でくわしく整理しています。
慌てないための備え3つ
ここからは、確率の話はいったん置いて、「もし当たっても困らない状態」をつくる方法です。どれも今日から始められます。
備え1:帳簿と領収書を「決められた年数」置いておく
調査の連絡が来て、いちばん困るのが「その年の資料が出てこない」という状況です。帳簿や領収書の保存期間は法律で決まっているので、まずはここを押さえましょう。
| 区分 | 保存するもの | 保存期間 |
|---|---|---|
| 青色申告 | 帳簿(仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳など) | 7年 |
| 決算関係書類(損益計算書、貸借対照表、棚卸表など) | 7年 | |
| 現金預金取引等関係書類(領収証、預金通帳、小切手控など) | 7年 ※1 | |
| その他の書類(請求書、見積書、契約書、納品書など) | 5年 | |
| 白色申告 | 法定帳簿(収入金額や必要経費を記載した帳簿) | 7年 |
| 任意帳簿(上記以外の帳簿) | 5年 | |
| 棚卸表、請求書、納品書、領収書などの書類 | 5年 |
※1 前々年分の事業所得および不動産所得の金額が300万円以下の方は5年。
※消費税の課税事業者が仕入税額控除の要件として保存すべき請求書等や、インボイス(適格請求書)の写しは、上記にかかわらず7年です。
白色申告でも「法定帳簿」は7年です。「白色は5年でいい」と覚えている方が多いのですが、帳簿だけは7年。ここは意外な落とし穴なので、ぜひ覚えて帰ってください。
そして、7年ぶんの領収書を靴箱に押し込んでおくのは、控えめに言って地獄です。日々の記帳を会計ソフトに任せてしまうのがいちばん現実的で、いざというときも画面を見せれば説明がつきます。青色と白色の違いを整理したい方は青色申告と白色申告の違いもあわせてどうぞ。
備え2:ミスに気づいたら「連絡が来る前」に自分で直す
これがいちばん大事かもしれません。申告のあとで計算まちがいや計上もれに気づいたとき、自分から修正申告をするタイミングで、ペナルティの重さがまるで変わります。
| いつ修正申告するか | 過少申告加算税 |
|---|---|
| 税務調査の事前通知より前に、自分から | かからない(0円) |
| 調査の通知を受けたあと、調査で指摘される前 | 新たに納める税金の5%(※一定額を超える部分は10%) |
| 調査で指摘されたあと | 新たに納める税金の10%(※一定額を超える部分は15%) |
※「一定額」=当初の申告納税額と50万円のいずれか多い金額。
つまり、自分で気づいて先に直せば、過少申告加算税はかかりません。「あとで見つかったら怖いから見なかったことにする」がいちばん高くつく、というわけですね。
なお、修正申告では不足していた税金に加えて延滞税もかかります。令和8年(2026年)1月1日から12月31日までの割合は、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、それ以後が年9.1%です(前年までは年2.4%/年8.7%でしたので、少し上がりました)。放っておくほど増えるタイプの負担なので、気づいたら早めに動くのが正解です。
ちなみに、申告そのものをしていなかった場合の無申告加算税は、納める税額のうち50万円までが15%、50万円超の部分が20%、300万円超の部分が30%(令和6年1月1日以後に申告期限が来る国税)。さらに、意図的に隠していたと判断されると重加算税として35%(無申告の場合は40%)が課されます。ここまで来ると、もう節約どころの話ではありません。
備え3:一人で受けようとしない
実地調査が行われるときは、原則として事前に通知があります。国税庁のFAQによれば、通知は法令上の方法が決まっておらず、原則として電話で口頭。日時・場所・調査の目的・税目・対象期間・対象となる帳簿書類・調査官の氏名や所属などが伝えられます。
そして、あまり知られていないのがこちら。
通知された調査日時は、都合が悪ければ申し出て相談できます。国税庁も「一時的な入院、親族の葬儀、業務上やむを得ない事情が生じた場合等には、申し出ていただければ変更を協議します」と明記していますし、申し出は口頭でかまいません。「明日来ます」と言われて青ざめる必要はないのです。
また、税務代理を依頼している税理士がいれば、事前通知を税理士に行ってもらうことも、調査に立ち会ってもらうこともできます。調査官の質問は帳簿の細かい話になりがちで、専門家が横にいるかどうかで心細さがまるで違います。
(なお、申告内容や過去の調査結果などから判断して、事前通知なしで調査が行われるケースもあります。この場合も、税目・対象期間・目的などは臨場後すみやかに説明されることになっています。)
「連絡が来てから」では間に合わないこともある
ここまでの話をまとめると、税務調査は「起きる確率は低いけれど、起きたときに一人だと重い」という、まさに保険と同じ性質を持っています。
実際、税務調査の立会いを税理士にスポットで頼むと、それなりの費用がかかるのが一般的です。そこで最近増えているのが、月額の会費制で税務調査への備えを持っておくという考え方。今回はその一例として「シロクマくん税務調査あんしんメンバーシップ」を紹介します。国税出身(国税局または税務署での調査官経験がある)の提携税理士が、日程の調整から調査当日の立会い、調査後の交渉、資料対応まで対応してくれるサービスです。
| プラン | 対象 | 月払い | 年払い(月あたり) |
|---|---|---|---|
| 個人プラン | 個人事業主・フリーランス(直近3年の各年の収入が5,000万円以下) | 1,408円(税込) | 1,078円(税込)/年額12,936円 |
| 法人プラン | 小規模法人(直近3期の各期売上が5,000万円以下) | 2,728円(税込) | 2,178円(税込)/年額26,136円 |
対象になる税目は、個人プランなら所得税・復興特別所得税・消費税・地方消費税(法人プランは法人税・消費税・地方消費税・源泉所得税)。相続税・贈与税・印紙税は対象外で、国税局の査察部や資料調査課による悪質な不正に起因する調査、電話照会など臨場をともなわない接触も対象外とされています。ここは正直に押さえておきたいポイントです。
そしてもうひとつ、いちばん大事な注意点。
税務調査の通知を受けたあとに入会しても、その調査は対象外。さらに入会日から1か月間は待機期間です。
火が出てから火災保険に入れないのと同じで、「連絡が来てから申し込む」は通用しません。検討するなら、何ごともないうちに——というのが、このタイプのサービスの宿命ですね。
※料金・サービス内容・適用条件は変更される場合があります。加入前に必ず公式サイトの利用規約をご確認ください。
まとめ:確率は低い、でも「整えておく」だけで怖くなくなる
- 所得税の実地調査は年間約4万7千件、確定申告をした人で割ると約0.2%(500人に1人くらい)。9割以上は電話や書面での「お尋ね」です。
- 国税庁は選定基準を公表していませんが、無申告・ネット取引・富裕層・海外投資・消費税還付が3年連続で重点分野に挙げられています。
- 帳簿は青色・白色どちらも7年保存。その他の書類は5年(青色の現金預金取引等関係書類は原則7年)。
- ミスに気づいたら調査の通知が来る前に自分で修正申告すれば、過少申告加算税はかかりません。
- 調査日時は申し出れば相談できる。税理士に立ち会ってもらうこともできます。
- 備えのサービスを検討するなら、何も起きていない今のうちに。
税務調査は、正しく申告して、決められたものを決められた年数だけ保存していれば、必要以上に恐れるものではありません。怖いのは「調査そのもの」ではなく、「聞かれたときに何も出せない状態」です。今日はまず、去年のレシートがどこにあるか確認するところから始めてみませんか。
なお、独立・開業まわりで「ホームページから仕事の問い合わせを増やしたい」という方は、宅建士・FP2級の私が ココナラのホームページ制作 で相談に乗っています。気になる方はぜひ。
※本記事は一般的な制度の紹介であり、個別の税務判断を行うものではありません。ご自身のケースについては、所轄の税務署または税理士にご確認ください。


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